横浜水道130年〜使用電力(水道局全体の7割)の改善で大幅な脱炭素化へ!

都市発展に必要不可欠なインフラが水道です。約2,000年前、ローマ帝国の都ローマでは、当時の最新技術を駆使して上下水道が建設され、100万人の市民の住宅や、テルマエと呼ばれるピーク時900ヶ所もの公衆浴場などに、1日110万㎥(立法メートル)の水を供給していました。この供給量は横浜市の1日の供給量とほぼ同じ規模です。

蛇口をひねればいつでも安全に飲める水が毎日供給されています。が、これは当たり前のことではありません。河川の水を浄水場できれいにし、水道管を通して蛇口から飲めるようにする為、横浜水道開設から130年間、現在1,500人の水道職員が並々ならぬ努力をしています。

 

⚫︎水道局の使用電力について(高低差56m。毎日水をポンプ汲み上げ)

現在横浜市では、川井浄水場(旭区)、西谷浄水場(保土ヶ谷区)、小雀浄水場(戸塚区)の主に3系統で水を浄化し、横浜市内全域へ給水しています。小雀浄水場では、河川から取水した水を、寒川取水ポンプと小雀揚水ポンプで汲み上げており、取水場所と浄水場の高低差は約56mあります。これは横浜市役所庁舎の11階分に相当します。この高さまで毎日約60万㎥(立法メートル)の水を汲み上げており、相当な電力を使用しています。

この件に関して、2023年10月5日の決算特別委員会「水道局」局別審査で、小雀浄水場の使用電力(及び料金)について質問しました。

 

(浄水部長回答)

水道局全体の使用電力は、約1億3,000万k Wh(4年度)。小雀浄水場の使用電力は約9,000万k Wh、全体の7割程度を占めており、これは一般家庭3万世帯分の電力量に相当します。また、水道局全体の電力料金は約35億円。小雀浄水場の電力料金は約23億円で、使用電力量と同様に全体の7割程度を占めています

 

 

 

⚫︎水道局全体の約割の電力を使う小雀浄水場の今後

小雀浄水場は、電力量及び電力料金について水道局全体の約7割を占めており、相当量の電力を使用し、多くの環境負荷がかかっています。これについては、水需要の減少や浄水場の更新時期も踏まえて、小雀浄水場の将来の方向性について検討しています。

「小雀浄水場を縮小して更新する案」に対して「県内5水道事業者の広域連携により、企業団の浄水場を増強し管路整備等を行なった上で小雀浄水場を廃止する案」を選択した場合、給水の安定性や、コスト削減、環境負荷軽減について、どの程度の効果があるか?今現在、比較・検討を行っているところです。

 

⚫︎まとめ

2,000年前のローマには、水を汲み上げるポンプも、もちろんそれを動かす電気もなく「自然流下」で、横浜市と同じ量の水を毎日給水していました。「水は高きから低きに流れる」自然の力を利用して、高度なインフラを既に整備していた古代人の知恵に感服します。

2030年、2050年の脱炭素目標達成の為にも、「毎日の水の為に、大量の電気を使っている」という横浜市の課題を解決する為に、小雀浄水場の廃止を含めて、検討を進めているところです。