横浜カジノ誘致反対の理由〜デメリットだらけのIR法案
- カジノ誘致反対の理由
1. そもそものカジノのビジネスモデル
2. 林市長の強引な進め方(市民の声をきかない) 3. ギャンブル依存症(全国320万人)の増加 4. 反社会勢力の関与や、マネーロンダリング(資金洗浄) 5. 青少年育成への悪影響 6. 地域の風俗環境・治安の悪化 7. コロナ禍で税収があがるの? 8. ギャンブル税収のへの財政依存(財政規律の乱れ) 9. その他 |
1.そもそものカジノのビジネスモデル
そもそもカジノは何も生産的なものを生み出さない産業。客に負けさせることで成立するビジネスモデルです。800億円超の税収を得るためには、それを超える多額のカジノ消費(数千億〜1兆円と試算される)、つまり客の負けが必要となるビジネス構造です。高齢者の老後資金や、働く世代の子育て・生活の資金を奪い、ギャンブル依存症を増やして借金まみれにさせ、家庭を崩壊させる政策。それを横浜市が率先して推進する政策でしょうか?
カジノ推進派が主張する経済的利益は短期的で計測可能ですが、その社会的コストは長期的に顕在化し計測が困難です。カジノはカジノ客への報奨制度(コンプサービス)で客をリピートし、施設内に客とお金を集めるカニバリゼーション(共食い)が起こり、地域経済の活力を吸収します。地域社会の消費を減少させ、投資家利益などにより地域外や国外に資金が流失していきます。
IR(統合形リゾート)施設内でのカジノ施設の面積は全体の3%以下。しかし、その少ない面積で、IR施設全体の収益の8〜9割の収益をあげる仕組みです。つまり、劇場・レストラン・国際会議場など、華やかなIR施設を経営する為には、賭博場であるカジノ施設で大きな収益をあげる必要があるのです(それだけの、カジノでのお客の「負け」を必要としています)。賭博場でお客が「負けたお金」を原資にして、横浜のまちづくりをする?それが横浜市として、正しいまちづくりの政策と言えるでしょうか?
2.林市長の強引な進め方(市民の声をきかない)
そもそも、林市長は「横浜へのカジノ誘致は白紙」の立場で当選しました。が、この間、「カジノ誘致の是非」を市民にまったく聞いていません。カジノ推進派が多数を占める議会で相談しているから、間接的に市民の声を聞いている、という詭弁をしています。
その林市長は、2019年8月に突然「カジノ誘致」を表明。横浜へのカジノ誘致ありきで、強引にこの政策を進めています。住民投票を求める横浜市民20万筆の署名をもとに、「カジノの是非を決める横浜市民の会」が、12月23日に市長へ住民投票実施の直接請求を求めました。それを受けて、林市長が住民投票条例(案)に意見を付して、住民投票の条例案が議会に送られます。しかし、市長は「住民投票を実施することには、意味を見出しがたい」としており、大変大きな問題です。今後、来年(2021年)1月6日から8日の3日間、住民投票の是非を決める横浜市会・臨時禍が開催されます。市長と議会(議員)の発言や、条例案への賛否の態度にご注目下さい。
また、林市長は10月16日の記者会見で「住民投票実施の場合、その意見に従う」という発言をしました。が、先日(12月9日)の議会では、これとは異なるあやふやな答弁をしています。この点も大きな問題であり、追求が必要です。
3.ギャンブル依存症(全国320万人)の増加
ギャンブル依存症の疑いがある成人は約320万人(厚生労働省・2107年調査)。
成人人口の3.6%(28人に1人の計算)にのぼります。
ギャンブル依存症は、本人に病気という自覚症状がない「否認」の病気であり、「隠す病気」だと言われています。一見普通で、見た目にも何もわかりません。しかし、借金と尻拭いを繰り返す段階で家族が認識し、さらに追い込まれた段階で、ようやく自助グループ等に参加し治療を受けるようになります。
ギャンブル依存症は、家計の窮乏、債務の負担、不払いや不正、高利貸しへの依存と自己破産、仕事と家庭の喪失、児童虐待などをもたらします。が、問題ギャンブラーは問題を隠し、嘘をつくことで事態を深刻化させ、本人ばかりか家庭や地域社会にまで影響を与えます。私は、こんな事が、「わがまち横浜」で絶対起きて欲しくない!と強く思っています。
病気の性質上、有効な薬や治療法がなく、治ったと思っても、また再発を繰り返す病気です。大変たちが悪く、やっかいな病気と言えます。会社の金の横領や使い込みなど、重篤で社会的に影響が大きい事件に繋がる病気であります。
あの事件の裏に、ギャンブル依存症の問題あり、という事で、重篤な事件に繋がる入口の1つとなっている事は間違いありません。
重篤な事件は以下ブログ「2017年1月25日」をご参照下さい
http://www.minnano-yokohama.com/blog/?p=1744
政府や自治体(横浜など)は十分な依存症対策をすると言っています。しかし、財源も予算も支援策も人員もまったく足りていません。依存症回復施設を運営するある団体からは、「ほぼ自助の力」で団体の活動を維持している状態である。という生の声を聞いています。また、参加した横浜市内のある回復施設の家族会では「夫がギャンブルにのめり込み、先祖伝来の土地など、すべての資産を失いそうになった」という大変重篤な事例の話も聞いています。
4.反社会勢力の関与や、マネーロンダリング(資金洗浄)
カジノ誘致によって経済効果など「正の側面(表)」がある反面、ギャンブル依存症の増加や地域への悪影響など「負の側面(裏)」が発生します。わかりやすく例えると、「コインの表と裏の話」です。カジノ誘致でどちらがでるかは、まさに「賭け」です。
【コラム】要職を務めた現職の国会議員(秋元司)が逮捕
2019年末に収賄罪容疑で逮捕された現職の国会議員・秋元司容疑者は、2020年8月、IR汚職、証人買収の疑いで再逮捕されました。760万円相当の賄賂を受け取った収賄罪で起訴され、公判に向け保釈中の身でありながら、裁判で虚偽の証言をする報酬として現金2千万円の供与を申し込んだ疑い。
秋元司議員は元内閣府副大臣(IR担当)。要職を務めた現職の国会議員の保釈中の再逮捕は異例であり前代未聞。IR誘致の裏側でどのような事が行われたのか?詳細は今後の捜査や公判で明らかになります。 |
反社会勢力の関与は、大変大きな問題です。上記は北海道へのカジノ誘致に絡んで起こった事件です。カジノ誘致の裏側で、現職の国会議員を巻き込んで汚職が行われた事は、我々に大きな衝撃を与えました。ちなみに、この後、北海道の鈴木知事は「カジノ誘致によるイメージの悪化」などを理由に、北海道へのカジノ誘致を断念しています。
5.青少年育成への悪影響
2004年・アメリカでの大規模な調査で、「カジノに近い住民ほどカジノをする回数が増え、常連客ほど問題ギャンブラーになる危険が高い」という結果が報告されています。調査によると、カジノ施設から10マイル(≒16km)以内の住民はその外側に住む住人の2倍の依存症となっている、と報告されています。
カジノ推進派の人達は、「雇用が発生する」と喜んでいます。が、逆に、アメリカでは従業員のギャンブル依存の高さが問題となっています(カジノ内の労働者が問題ギャンブラーになる危険性にさらされています)。
つまり、「近くに誘惑(カジノ)がある環境」、というのは良くない事なのです。神奈川県は「未病」を一生懸命訴えていますが、「カジノ施設をつくらない」事が、ギャンブル依存症などの病気や、問題を起こさない為の、一番の解決策です。
家族がギャンブル依存症になったことから母子家庭、貧困家庭になるケースもあります。そうなれば、進学を諦めるなど子供への大きな影響が出ます。カジノがあるアメリカのある地域では、若い世代のカジノ経験率が高く、インターネットカジノの餌食となり、21歳以下でも問題ギャンブラーが拡がっている。という結果が報告されています。
「青少年の健全育成に悪影響がある施設」を横浜の庭先にわざわざ作って欲しくない、という意見。子育てまっただ中の世代の皆さんだけでなく、子育てを終えた、我々の先輩世代の皆さまからも、多数頂いています。
6.地域の風俗環境・治安の悪化
カジノと風俗産業はセットで、施設の近隣では風俗産業が盛んになります。諸外国の事例でも起こっています。また、事業者の言い分を聞いて、その為の規制緩和が必要になるかもしれません。
先に書いたとおり、依存症の増加によってお金をめぐるトラブルが増え、重篤な犯罪が増加する可能性があります。家計の窮乏、債務の負担、不払いや不正、高利貸しへの依存と自己破産、仕事と家庭の喪失、児童虐待など。また、カジノ経営が上手くいかなくなって、地域経済全体が悪化する懸念もあります。それに伴って、地域環境の悪化や乱れ(例:家庭崩壊、家族の離散、家の差押など)が益々進んでいく懸念を考えておかなければなりません。
韓国のカンウォンランド(自国民向けのカジノ施設)の人口の激減や、米国のアトランティックシティの地域経済の衰退は、実際に起った事実です。
7.コロナ禍で税収があがるの?(経済効果があるの?)
【コラム】コロナ禍でカジノ事業者苦戦
コロナ禍で海外のカジノ事業者の苦戦が続いています。営業自粛や縮小、世界全体の観光産業の後退や三密産業への風当たり。資金繰りに窮し、資産売却や人員整理、国からの資金援助要請など、生き残りをかけて「守りの経営」にシフトしています。 例えば、世界最大のカジノ運営会社・米ラスベガス・サンズ社は、2020年5月に、日本のカジノPJへの投資断念を発表しています。 日本へのカジノ投資は超巨大投資。1件あたり5,000億円から1兆円の投資と言われています。が、このコロナ禍でカジノ事業者の投資戦略も、大幅な方向転換が迫られています。 |
コロナ禍で、観光客の動きがSTOPしています。従来どおりのカジノの売上は見込めません。
横浜市の税収見込み(800億円超)試算は、委託業者任せの数字。その根拠に疑問が残ります。数字の根拠を問う「議会での質問」には、横浜市は何も答えていません。また、この数字はコロナ発生前の数字です。コロナの影響を考慮した数字の再試算と、その数字の市民への説明が必要です(市側はやる気がないようですが・・・)。
8.ギャンブル税収のへの財政依存(財政規律の乱れ)
カジノ事業者が儲かれば、設置自治体に税収が入る。一方で、その税収に依存し、カジノ事業者の意向にそった政策をせざるをえなくなる、という問題があります。
事業者にカジノに収益を上げさせるためには他国・他地域との競合に勝つために投資を続け、その結果ギャンブルにハマる人も増え続けます。逆に、カジノが経営不振になれば自治体が損失補填し、客を集めるために規制を緩めざるを得なくなる。すると地域の負担がさらに増える事になる。という悪循環がある事を忘れてはなりません。
9.その他
・コラム
● 見直しを求める「要望書」提出
このコロナの状況下。2020年4月28日には、事業の見直しを求める「要望書」を会派で提出しています。
我々会派からのこれらの要望に対して、横浜市はまったく回答していません。 つまり、コロナが発生し、状況が一転したにも関わらず、その影響を何にも考えていないのです。コロナの影響を評価し、それを市民に説明する事は、横浜市側の義務です。 |