RPAを活用した行政事務の効率化
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ばれるパソコン上の作業を自動化するプログラムや、AI-OCR(申請用紙などに記入された手書きの文字をプリンタなどでソートし読み取る機械)など、手書き文字を自動判別し、データとして読み込む技術など、人間が行っている事務作業を自動化する技術開発が進んでいます。
民間企業、とりわけ金融機関などでは、こうした技術を積極的に導入し、事務作業の効率化を実現しています。人手不足で労働生産性の向上が経営課題となっている中、横浜市においてもRPAの活用について検討を始めています。
- 3ヶ月間の膨大な業務・残業〜18,000件の申請書類を手入力
毎年実施している保育所入所事務では、事務処理を集約したうえで、3ヶ月間で1万8千件以上の申請書類を審査。入所の決定を行うなど、膨大な作業量が発生します。基本的にはPCへ手入力を行い、その為に、臨時の職員を雇い、こども青少年局が膨大な残業をするなど、多額の人件費が費やされています。
このような業務について、先述のAI—OCRなどRPAの活用によって一部でも省力化・自動化が可能であり、全体の処理量を考えると効果は絶大です。
○R2・1定 予算関連質疑(2月26日)
Q(大岩):事務作業を全庁的に棚卸ししたうえで、RPAの活用による事務効率化を効果的に進め、人件費圧縮や働き方改革に繋げていくべきだと考えますが、市長の見解を伺います。
A(市長):職員の能力を最大限発揮するためには、経理事務や申請業務など、内部事務の集約化や外部委託化などとあわせて、RPAなどICTを活用した事務の効率化を、これまで以上に進めていく必要があると考えています。またこうしたことが、働き方改革にもつながるものと考えています。
- 要介護認定事務センターにおけるRPAの活用
年間約15万件(約18万人分)にのぼる要介護認定申請。申請書に記載された内容をシステムに入力する作業だけでも相当な事務量になります。横浜市では来年度からは要介護認定事務センターを設置し、事務の効率化を進める事を予定しています。
○R2・1定 健康福祉局・局別審査(3月2日)
AI-OCRと言われる、手書きの申請書をデータとして読み込む技術があり、大幅な手入力作業の効率化が図れます。
Q(大岩):要介護認定事務センターにおいてRPAを活用するべきだと考えますが、健康福祉局長の見解を伺います。
A(健康福祉局長)令和2年度から委託を開始する予定の「審査会資料の内容確認」では、認定調査票の記載と、主治医意見書の内容の整合性が取れているかなどを、専門職が確認します。現時点では専門職の判断が入りますのでRPAの導入は難しいと考えています。
しかし、将来的には、申請書や調査票などの入力について、RPAや電子申請などのICT技術の活用も視野に入れて、検討する必要があると考えています。
局の業務では、要介護認定事務に限らず、用紙に記載された内容を、職員が手入力でデータ化しているものが多くあります。それら全ての業務は、RPAで自動化や省力化が可能です。
Q(大岩)健康福祉局の他の事務作業全体についても棚卸しをしたうえで、RPAを使った自動化・省力の可能性を検討するべき、と考えますが、健康福祉局長の見解を伺います。
A(健康福祉局長):事務効率化や事務処理ミス防止の観点から事務プロセスの見直しには継続的に取り組む必要があります。特に、データの転記作業などの定型業務については、省力化に向けて改善の余地があると考えています。そうした業務へのRPAの活用について、今年度中に策定されるガイドラインや先行事例などを参考にしながら、検討を進めていきます。
- まとめ
より効果的にRPAを導入していくためには、ノウハウや必要な情報を持った専門的な部署が、リーダーシップを発揮して庁内での活用を推進することが必要不可欠です。こうした役割を期待している総務局のしごと改革室。この業務に現場であたる担当者は「たった2人」。人数が少なすぎるという課題指摘を、平成28年の局別審査でさせて頂きました。効率化の効果(仕事量・予算など)が高いのであれば、人員体制の強化が必要です。
RPA導入に関する令和2年度の検討予算は「たった7百万円」。市全体の効果・可能性を考えると、少なすぎます。データ入力など単純作業の削減により、職員の残業代や臨時職員の削減、働き方改革など、数十億円以上の効果が見込めます。RPA活用による効果・可能性が追求されておらず、「本腰がまったく入ってない」というのが明らかです。
庁内における事務効率化の推進体制を確実に整え、スピード感をもって取り組む事を要望しています。