生産緑地の2022年問題とは?〜横浜市内には東京ドーム約65個分!
- 生産緑地の2022年問題とは?
1992年に施行された生産緑地法。市街化区域内にある指定を受けた農地は、農業継続を条件に、固定資産税などの減免措置を受けてきました。生産緑地指定から30年経過すると、市区町村に買い取り申し出が出来ます。全国で指定を受けた生産緑地の約8割が、2022年に30年の期限を迎えます。土地を所有する農家が一斉に買い取り申し出を行うと、多くが宅地として放出され、土地・住宅市場に大きな影響を与えかねないというのが、「2022年問題」です。
生産緑地面積 | 東京ドーム換算 | |
東京都 | 3,296.4 ha | 東京ドーム701個分 |
神奈川県
(内、横浜市) |
1,380.2 ha
(307.0 ha) |
東京ドーム293個分
(東京ドーム65個分) |
埼玉県 | 1,792.8 ha | 東京ドーム381個分 |
千葉県 | 1,175.3 ha | 東京ドーム250個分 |
※1ha=0.01k㎡
- 生産緑地法改正
2022年問題の激変緩和措置として、昨年(2017年)4月に成立した「都市緑地法等の一部を改正する法律」の中で改正がなされました。選択により生産緑地制度の10年間の延長、再延長、その後の延長も可能となりました。
■改正のポイント
① 「特定生産緑地指定制度」の導入 営農継続意向のある農家が「特定生産緑地」を選択すれば、10年間税制上の優遇措置が受けられる。その後も10年毎の再延長ができる。 ② 「面積要件の緩和」 生産緑地に指定できる面積の下限が500㎡→300㎡へ ③ 「建築規制の緩和」 農産物直売所や加工所、農家レストランの設置が可能に |
2018年6月には「都市農地の賃貸の円滑化に関する法律」が成立。生産緑地を他の人や企業に貸しやすくなる見込みです。制度改正により、都市部の農地に農産物直売所や加工所、市民農園や農家レストランなどの施設の増加が見込まれます。一方で、これら施設の採算確保や担い手の育成などが課題です。
- 今後の流れ
横浜市では、生産緑地所有者の約7割(約1,200ヶ所)が、2022年に指定期間30年の期限を迎えます。担当局の環境創造局では、今年度、移行希望に関するアンケート調査を行います。そして、その後2022年までの間に、「特定生産緑地」に移行するか(=10年延長するか)否かの確認手続きを実施する予定です。
- まとめ
「特定生産緑地」制度創設により、2022年問題は一定程度緩和されました。
しかし、農業就業者の高齢化が進む中、土地所有者の移行次第では、多くの土地が不動産市場に供給され、影響が出る可能性が残されています。その意味では、移行希望を確認する今年度のアンケート調査が、非常に重要です。
また、都市農業を維持・発展させる為、耕作放棄地の解消、新規就農者のマッチング、農福連携など、様々な課題に対して、調査・研究・提言を続けて参ります。