人口知能(AI)による生産性改革〜ホワイトカラーの「定型業務」と「非定型業務」
私は毎月、東京で開催される「朝食勉強会」に出席しています。
今月のテーマは「働き方改革」に関する内容でした。
OECD諸国の中でも、日本の生産性は最低レベルにあり、「働き方改革」というよりも、この部分にメスを入れなければいけない、というのが今月の勉強会の結論でした。
「それは何故か?」という問いの中で、日本は、製造業の現場のような「ブルーカラー」の生産性は高いが、ホワイトカラーの生産性が低い、という指摘がありました。ホワイトカラーの仕事を「定型業務」と、「非定型業務」に分解し、「定型業務」のIT化や、社外へのアウトソーシング、AIやロボットによって自動化する事が、日本の企業の今後のテーマとなります。
■ ホワイトカラーの「定型業務」とは?
ホワイトカラーの仕事は、大きく「定型業務」と「非定型業務」に分けられます。「定型業務」とは、データ入力や伝票整理、記帳、請求書作成など作業内容に一定のパターンがあり、マニュアル化、外注化が可能な仕事です。
世界の企業では、「定型業務」の具体的な作業や進行上の手順が「標準作業手順書」に定められており、「標準作業手順」をこなす能力を持った人材を随時募集しています。残業は本来、この「定型業務」にしか馴染まないものです。
この「定型業務」の部分は、今後、AIやロボットに置き換えられていく可能性が高い仕事です。又、切り出した「定型業務」を受注するアウトソーシング会社が多数存在しており、社内コストよりも安く、高品質のパフォーマンスをあげられる会社も多くなっています。
■ ホワイトカラーの「非定型業務」とは?
ホワイトカラーの「非定型業務」とは、経営戦略の構築や、事業計画の策定、新製品の企画・開発や、対外的な交渉など個人の思考力、判断力、経験が要求されるクリエイティブな仕事です。「非定型業務」は、自動化してAIやロボットに置き換えていくのは(今のところ)難しい仕事であり、本来「残業」には馴染まない仕事と言えます。
■ 取組むべき課題
私もかつては、民間企業で17年間、サラリーマン(ホワイトカラー)として仕事をしていました。難しい点もありますが、ホワイトカラーの生産性向上の取組みは、避けられない未来です。
全業務の棚卸しを行い、「定型業務」と「非定型業務」に業務を分解し、「定型業務」は、「標準作業手順書」ベースで、社内リソースと社外リソースの比較をし、品質(一定水準を担保)とコストの最適化を図る必要があります。
この中で、最適解を探し、その事例をベンチマークする事も重要です。
又、「定型業務」にする事が可能な業務を、抵抗勢力に屈して、「非定型業務化」する事を避けなければなりません。この点が一番難しいところです。
又、今後考えられる事象の中で一番の衝撃は、従来「非定型業務」と考えられていた仕事が、AIの進化により、「定型業務化」する、という事実です。例えば小説を書くAIや、オリジナルの作曲やデザインをするAIが既に存在しています。右脳でする作業の何割かが、コンピュータに置き換えられる時代が、我々の生きている時代に到来するかもしれません。
計り知れない変革が目の前に迫る中で、民間企業だけでなく、公共の世界の仕事も、「定型業務」を効率化する試みが必要だと、私は考えます!