《調査》ホテルシップについて〜停泊している客船をホテル(宿泊施設)に出来ないか?
● 横浜市内のホテルは「超満員」状態
横浜市内のホテルの稼働率は約90%で、ほぼ満室状態が続いています。市内の客室数は15,000室で、大きなイベントがあると、市内のホテルでは泊まりきれない状況です。例えば、毎年夏に行われるJCの全国会議・サマーコンファレンスには、全国から1万人以上のヒ人が集まります。が、当然ホテルは足りず、都内に宿をとる方が多いそうです。
● ホテルシップの調査開始
先日(4月6日)のFacebookにも書きましたが、2019年ラグビーワールドカップや2020年東京オリッンピック・パラリンピックなどの、横浜市内では吸収しきれない臨時の宿泊需要が発生する可能性があります。この解決策として、客船を横浜港に停泊させ、その船をホテルにする、「ホテルシップ」について、調査を開始しました。主に以下のような視点で調査を始めています。
① 停泊している客船をホテル(宿泊)に出来ないか?
② 全国で先行事例はないか?
③ 宿泊(オーバーナイト)する場合の課題は?
● ホテルシップの事例
横浜市の港湾局、議会局にも協力を頂き、調査しています。少ないですが、以下のような「ホテルシップ」の事例が国内にもある事を確認しました。
《事例1》おがさわら丸ホテルシップツアー
東京(竹芝)から船でおがさわら諸島の父島に行き、父島での3泊は、ホテルシップに宿泊するツアー。旅行代金76,900円。
《事例2》昼の瀬戸内感動クルーズ
フェリーさんふらわ号、神戸→大分へのクルージング(料金14,400円)。大分港に到着した後、ホテルシップに泊まるか、下船が選べる。ホテルシップ(宿泊)料金7,000円。
https://www.ferry-sunflower.co.jp/lp/day/after/index.html
《事例3》日本糖尿病学会年次学術集会(at下関):ぱしふぃっくびいなす
下関で行われた日本糖尿病学会の際に、客船「ぱしふぃっくびいなす」が寄港。この船を学会の会場及び、参加者用のホテルとして利用した。
http://www.cruise-mag.com/news.php?obj=20150512_01
《事例4》青函連絡船の再利用:ホテルシップ・ヴィクトリア
青函連絡船を引退後、長崎港で「ホテルシップ」として再利用。船内は55の客室、レストラン、結婚式場などを備える。1996年から10年間の営業で18万人が宿泊した。現在は営業終了。
http://www.shikoku-np.co.jp/national/life_topic/20051202000020
《事例5》東日本大震災時のホテルシップ活用事例
震災後の臨時避難場所として客船が活用された事例(2例)
◯銀河丸:宮古港にて、3月20日〜22日、述べ220名が利用。被災者の入浴・食事提供、健康診断など。
◯ふじ丸:大船渡港、釜石港、宮古港にて、4月11日〜17日、述べ4,451名が利用。被災者の入浴、食事の提供、客室の利用、映画上映、船舶公衆電話の無料開放、携帯電話の充電など。
《事例6》海外の事例:リオオリンピック・米国バスケチーム
リオオリンピックの際に、米国のバスケットチームが、SILVERSEA社のクルーズ船Silver Cloudを宿泊先として活用した。
● 「ホテルシップ」に関する国の考え
平成29年3月10日、「国土交通省・交通政策審議会、第66回港湾分科会 資料2−2」では、港湾における中長期政策の方向性(案)が示されています。近年インバウンドが増加している中で、宿泊施設の容量不足が懸念されており、ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピック等の大規模イベントに際し、臨時の宿泊先として「ホテルシップ」の活用についての、検討を進めていく必要性がある、と述べられています。又、離島や地方部でのホテルシップの活用への検討が必要である、との方向性が示されています。
今後、国会議員とも連携しながら、国会などで国(国土交通省)の考え方・方向性を確認していきたいと思います。国の考え方を確認しながら、横浜でホテルシップを行う場合の課題を整理し、課題解決の道筋を探していきたいと思います。